なぜユーロ/ポンドなのか。28の通貨ペアを同じ物差しで比べた
リピート売買は、値動きの往復を利益に変える仕組みです。だから通貨ペアに求める条件は「よく往復すること」だけではなく、「往復のわりにレンジが狭いこと」「レンジを破らないこと」「持ち続けてもスワップで削られないこと」の4つになります。この記事では、XMで取引できる28の通貨ペアを、この4つの物差しで機械的に並べました。
1. 往復が多く、レンジが狭いペアが有利
このEAの必要資金は、レンジの幅で決まります。範囲が広いほど段が増え、全段が埋まったときの含み損が大きくなるからです。一方で利益は、その範囲の中で価格が何pips往復したかで決まります。つまり同じ手法で比べるなら、「1年の往復」を「必要資金」で割った比率が、そのペアの資金効率です。上の図はその比率で28ペアを並べたものです。上位は豪ドル/カナダドル、NZドル/カナダドル、ユーロ/ポンド、NZドル/米ドルの順で、ドル円やポンド円のような値幅の大きいペアは、レンジも広いため下位に沈みます。
2. 上位のペアは、スワップで明暗が分かれる
| ペア | 使う側 | 資金効率 | 推奨資金 | スワップ/日/1,000通貨 | 100本持った年間 |
|---|---|---|---|---|---|
| AUDCAD | 売り | 6.4% | ¥1,600,000 | −¥12.1 | −¥442,000 |
| NZDCAD | 買い | 5.4% | ¥1,900,000 | −¥2.5 | −¥92,000 |
| EURGBP | 売り | 5.3% | ¥3,100,000 | +¥2.5 | +¥92,000 |
| NZDUSD | 買い | 4.9% | ¥3,100,000 | −¥6.2 | −¥228,000 |
| EURCAD | 売り | 4.7% | ¥3,500,000 | −¥7.3 | −¥266,000 |
| AUDNZD | 売り | 4.6% | ¥1,700,000 | −¥11.9 | −¥435,000 |
資金効率だけなら豪ドル/カナダドルが1位です。ところがこの手法は建玉を何十本も長く持つので、スワップが毎日効きます。豪ドル/カナダドルの売りは1,000通貨あたり1日12円のマイナスで、100本持てば年間44万円の持ち出しになります。ユーロ/ポンドの検証では年間の確定益が34万円前後ですから、この大きさのマイナススワップは利益をまるごと消します。上位6ペアの中で、主に使う側のスワップがプラスなのはユーロ/ポンドだけでした。
3. 2009年以降、一度もレンジを破っていない
| ペア | レンジ破りの日数 | 過去1年平均の±3%以内にいた日 | 往復 ÷ 片道 |
|---|---|---|---|
| EURGBP | 0 | 65% | 19.0倍 |
| CADJPY | 5 | 42% | 17.6倍 |
| AUDCAD | 73 | 63% | 24.6倍 |
| NZDCAD | 415 | 63% | 30.7倍 |
| AUDNZD | 615 | 72% | 23.1倍 |
| EURUSD | 2,371 | 48% | 16.6倍 |
| EURCHF | 4,293 | 74% | 15.6倍 |
この手法の弱点は、範囲の外へ一方向に走られることです。だから「過去にどれだけレンジを破ったか」を数えました。ユーロ/ポンドは、2003〜2008年につけた高値と安値の範囲を、2009年以降の17年間で一度も出ていません。豪ドル/NZドルやユーロ/スイスフランは往復の多さでは優れていますが、レンジの外にいた日が数百日から数千日あります。ユーロ/ポンドは資金効率が上位で、スワップがプラスで、レンジを破らない。3つが同時に成り立つ唯一のペアでした。
4. 次に検証する候補
スワップは毎月変わります。豪ドル/カナダドルやNZドル/カナダドルは、スワップの条件が変われば有力な候補になります。次は、この一次比較で上位に入ったNZドル/カナダドル、豪ドル/カナダドル、豪ドル/NZドル、NZドル/米ドル、ユーロ/カナダドルの5ペアについて、ユーロ/ポンドと同じ1時間足のバックテスト(2003年〜)を回し、年率・最大の含み損・推奨資金を同じ表で並べる予定です。結果はこの記事の続報として載せます。
この比較は2003年以降の日足(Yahoo Finance)とXMのスワップ表(2026年9月)に基づく一次スクリーニングです。ユーロ/ポンドのEAは2000年の安値まで含めた範囲で設計しているため、この記事の推奨資金(310万円)は稼働中の設定(460万円)より小さく出ています。
最後まで読んでくれて、ありがとう。数字の出どころは、下のリンクから確かめられるよ。